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雪堂美術館におもう 豊齋老
いま、良寛を慕う人が増えている。書店をのぞけば良寛に関するものが 以前より多く出ていることに気づく。 何故、いま良寛なのか? 嘗つて全国良寛会会長で、今は故人となられた 小島寅雄先生にお尋ねしたことがある。先生いわく、「現代の人々は良寛 に心の癒しをもとめているのではないだろうか、裏返せば、心を病んでいる 現代人が多いということであろう」と。 いま自殺する人が交通事故死より多いと聞く。 あまりにもコセコセしたこの世の中に心が枯れてしまっているのではないだ ろうか。 このような社会にあって、今心の癒しをもとめてやまない人々が、良寛の書 に、歌に、詩にあこがれて良寛を慕っているのである。 そこで、雪堂美術館は藝術論を大上段に構えるのではなく、一歩館内に 足をふみ入れればホッとする、理屈ぬきで心が癒される空間を提供できれ ばと思う。 そんな美術館にしたいものである。 平成十六年十一月三日 |